Saturday 29 March 2014

マレーシア機不明3週間 捜索は時間との闘い

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マレーシア機不明3週間 捜索は時間との闘い
3月29日 17時22分

マレーシア機不明3週間 捜索は時間との闘い
マレーシア航空機の行方が分からなくなってから29日で3週間がたち、各国の航空機や船は28日、海上に浮いているのが発見された複数の物体を確認するために、現場海域で捜索を続けています。
原因究明の鍵を握るのはフライトレコーダーの回収ですが、発信器の電源はおよそ1か月で切れることから捜索は時間との闘いとなっています。
今月8日、乗客・乗員239人を乗せて中国の北京に向かっていたマレーシア航空の旅客機についてマレーシア政府は、インド洋の南に墜落したとの見方を示しています。
28日の捜索では、新たに設定されたこれまでより北東の捜索海域で、オーストラリアなど各国の航空機が、長方形の物体など複数の漂流物を発見しています。
29日は現場海域に到着した中国の船が物体の確認と回収を目指しているほか、日本を含む各国の航空機8機がオーストラリア西部のパースの空港から夜明けからほぼ1時間おきに出発し、現場海域での捜索に当たっています。
各国は機体の一部が確認されれば、飛行データを記録したフライトレコーダーや、操縦室内の会話を記録したボイスレコーダーを回収し、原因究明を図る方針です。
しかし、フライトレコーダーの位置を知らせる音波を出す発信器の電源はおよそ1か月で切れてしまうことから、マレーシア航空機の捜索は時間との闘いとなっています。

捜索海域は「ほえる40度」

マレーシア航空機の捜索が行われているインド洋の南緯40度付近の海域について、海洋気象の専門家は「『ほえる40度』と呼ばれる荒れた海域で、これから季節が冬になりますます風が強くなるため、海が荒れて捜索は難航が予想される」と指摘しています。
海洋気象に詳しい独立行政法人・海洋研究開発機構の山形俊男さんによりますとマレーシア航空機の捜索が行われているインド洋の南緯40度付近から南は、帆船による航海が盛んだった18世紀から19世紀ごろにはヨーロッパからオーストラリアなどへ向かう航路で、船乗りからは『ロアリング・フォーティーズ』、『ほえる40度』と呼ばれ、荒れた海域として恐れられてきたということです。
南半球の南緯40度付近から南は陸地が少ないため、海上を西寄りの強い風が吹いているうえ、2つの海流が毎秒20センチから1メートルほどの速さで流れていることが荒れる原因です。
山形さんが気象や海洋の観測データを使って海流の速さや向きをシミュレーションをしたところ、マレーシア航空機の捜索が行われている海域は、ところどころに毎秒1メートルほどの速い流れがあります。
オーストラリアの西側に近づく海流とオーストラリアの南を東へ流れる海流があり、衛星写真で確認された漂流物は1日20キロから100キロ程度大きく移動していると考えられるということです。
山形さんは、「強い海流に加えて漂流物が海の表面にあった場合、風の影響も受けてさらに流されるため、非常に広い範囲に流されている可能性がある。南半球はこれから季節が冬になり、ますます風が強くなって海が荒れて捜索は難航が予想される」と話しています。

3週間の捜索の経緯

マレーシア航空機の捜索は、旅客機が出発からおよそ50分後に、南シナ海の上空で突然、管制のレーダーから消えたことから、当初は南シナ海で行われました。
その後、マレーシア軍のレーダーの記録から、旅客機が南シナ海上空で西に方向転換し、マレー半島を横断していたことが分かり、捜索範囲は、マラッカ海峡北部やアンダマン海にも広がりました。
発生から1週間後、今度は旅客機のエンジンから、人工衛星に向けて発信された最後の信号の分析から、旅客機は離陸からおよそ7時間半後に、中央アジアにかけての北方面か、インド洋にかけての南方面に位置していたことが分かりました。
そして今週、衛星との間の6回の信号のやり取りについて、ドップラー効果と呼ばれる周波数の変化を分析したところ、南に向かったと絞り込まれ、インド洋に墜落したという見方が示されました。
さらに南シナ海からマラッカ海峡に至るまでの間のマレーシア軍のレーダーの記録を解析し直した結果、旅客機の速度が考えられていたよりも速かったことが分かりました。
このためより多くの燃料を消費し、想定より手前で墜落した可能性があるとして、28日、捜索範囲がオーストラリアにより近い、海域に移されました。
インド洋の南の海域ではこれまで各国の人工衛星や航空機によって複数の物体が漂流しているのが見つかっていますが、いずれもマレーシア航空機との関連は確認されていません。
マレーシア政府は、アメリカ、イギリス、中国の、航空当局や航空機メーカー、衛星を運営する企業などから専門家を集めて作業グループを立ち上げ、衛星やレーダーの記録の分析を続けていて、捜索範囲のさらなる絞り込みを目指しています。