Tuesday 27 May 2014

建築訓練校に47歳五條さん入校 後継者不足受け



建築訓練校に47歳五條さん入校 後継者不足受け
(2014/4/10 08:07)


「少しでも木の良さを広めていければ」。入校式を前に気合が入る五條さん(左)。隣は夫稔さん=島田市大柳

牧之原市の榛南建築高等職業訓練校の入校式が10日、同校で行われる。本年度の入校生は2人。後継者不足に加え産業の低迷など大工をめぐる現状は厳しい。そんな中、入校生過去最年長となる島田市大柳の五條礼子さん(47)は「大工の技術を学び、大工の素晴らしさを少しでも広められれば」と張り切る。

かつての実家は築100年以上の古民家だった。五條さんは「オンボロの家で恥ずかしかった」と振り返る一方、木造建築の魅力も感じていて、大工に興味があったという。五條さんは21歳で、大工職人の夫稔さん(57)と結婚。以来、稔さんが経営する工務店で事務を手伝う傍ら、伝統を受け継いできた大工職人の技術や、自然の木が生み出す香りやぬくもりなど木造建築の魅力をずっと肌で感じてきた。

ただ、大手住宅メーカーの進出で大工の仕事は激減した。弟子を育てる余裕もなく、後継者不足は深刻で大工をめぐる現状は日に日に厳しくなった。衰退していく産業に危機感を覚え、五條さんは「大工職人や木造建築の魅力を伝えたい」と、職業訓練校への入校を思い立った。47歳での挑戦に、稔さんも「是非やってほしい」と背中を押した。「現場を1人で見られるくらいになってもらえれば」と期待する。

五條さんは訓練校で3年間、大工や木造建築の基礎知識などを学ぶ。「こんな私でもできるんだということを広めて、大工職人のやる気につながればうれしい。伝統が失われるのはもったいない」と意気込む。